ねこ

うちには猫が5匹いる。

はじめの1匹は、僕が初めて一人ぐらしをしていたときに出会った。

当時は家具を買うという知識がなかったため、バカでかい20インチぐらいのCRTディスプレイとパソコン、あと布団がロフトにあるだけの殺風景な部屋だった。 ※このCRTディスプレイは20kgぐらいあったと思うけど、お金がもったいなくて秋葉原から埼玉まで手で持ち帰ったという話があるのだけれども、それはまた今度。

休日に仕事に疲れて部屋で寝転んでいたらベランダから部屋に猫が入ってきた。 僕に気づくことなく入って来たので、他の部屋でも同じように入っていたのかもしれない。 「お、三毛猫やんけ」と思い、むくっと起き上がるとその気配に気づいたのか、シュッっとベランダから出ていった。 出ていったけどまだ近くにいたので、そういえば鰹節があったなと思い、台所から鰹節を取ってきて皿にのせて窓際においた。 三毛猫はすこしびくびくしながら近づいて食べた。

次の日は毎日キャットフードを上げるようになり、数日したら家にいるようになった。

仕事が忙しくなるとスーパーにもよれないのでキャットフードもコンビニで調達するようになり、 お高いキャットフード(懐石という名前だった)を連日あげるようになると、 その後はお高いキャットフードしか食べなくなるという、高飛車仕様だった。

2年弱ほどして実家の近くへ戻った。 そのときにはすでにウチの猫のようになってしまっていて、一緒につれていくことにした。

弟の車にダンボールに入れて乗せたような気がする。 初めての引っ越しでにゃーにゃー言っていた。 今考えるともうちょっといい運び方あったんじゃないかな。

まあ、なんだかんだでその後ずっとかれこれ20年ほど連れ回して、今も東京の片隅で一緒に暮らしている。 20年というとこれ以上長く付き合ったこと実家以外にはない。

その三毛猫が、ここしばらく鼻をズーズーさせているから検査したところ、腺癌とのことだった。 去年はてんかんみたいな症状もでていたので、いい年だしそろそろかもなぁ、と心の準備はしていたのだけれど、ガンかあ。 なるべくなら辛い思いはさせたくないので、つらそうな治療はしたくない。 できれば長い間のんびりと暮らしてほしいなあと思う。